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日本語学校の専任って授業以外に何をするの?~誰よりも詳しく解説!~

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日本語教育業界で安定するためには、やはりどこかの学校で専任や常勤として働くのがいいかと思います。

 

しかし私自身、専任になる前に「専任の仕事は何があるのか?」あまり具体的なイメージが湧かないままだったので、入ってから苦労したりご迷惑をおかけしたりすることもありました。

 

授業は週5日、午前または午後に入るのですが、授業以外の仕事は非常に多岐にわたり、専任になってから3年経った今でも、授業準備を家でやらざるを得ないこともしばしば…。

 

そこで、授業以外の専任の仕事について、かなり細かいものまで具体的にお話しようと思います。

 

 

目次

 

 

1.学習に関すること

・教科書選定、カリキュラム作成

カリキュラム作成者が担任教員とともに、クラスのレベルや進度・雰囲気に合わせて教科書を選びます。

主任教員や経験年数の多い人がカリキュラムを作成することが多いです。

過去のクラスと同じ内容になるとは限りませんので、かなり時間がかかるようです。

 

・テスト作成

レベルや教科書ごとに、授業内容を網羅した中間・期末テストを作成します。

授業を週に5日こなしながら作るのはかなり大変で、週末にやることも多いです。

主任教員は、そのテストが適切かどうかチェックします。

教科書の課のまとまりごとにテストを実施する学校もあるようです。

 

・教材作成、準備

適切な教科書がなかった場合、専任が教材を作成することがあります。

例えば、中級の作文テーマを考えたり、ディスカッションの準備をしたりします。

また、テキストの一部をコピーします。著作権に注意

 

 

2.クラス担任

・学生の観察、コミュニケーション

これは私が一番大切だと思っていることです。

体調や言動、見た目に異変がないかどうか観察し、コミュニケーションを取ります。

1~2ターンの日常会話をするだけでも盛り上がり、学生は「日本語を話せた」と嬉しそうな表情をします。

また、そこから思わぬ情報を得られて、トラブルを未然に防げたり、学生の人間関係が分かったりします。

さらに、授業では発言の時間が限られているので、会話を通して学生の日本語レベルもよく分かり、授業の導入・例文に使える内容を引き出すこともできます。

 

・学生の指導

留学生は20歳前後が多いのですが、私自身、予想以上に学生が子どもっぽいなという印象を受けました。

授業態度や時間管理、考え方、ルール、マナーなどを指導しなくてはいけません。

例えば「あいさつ時、授業中は帽子を脱ぐ」「ごみの捨て方」「ながら運転や二人乗りの禁止」などです。

 

彼らは日本の常識を知らないですし、日本人は真面目な人が多いので、初めに指導してあげなければ後で困ることになります。

頭ごなしに怒るのではなく、「学生が後々困らないように、その行為が悪い理由を説明して、叱ってあげる」というイメージです。

 

・成績管理

中間・期末ごとにテスト、作文、会話などの結果をまとめて計算し、成績を出します。

 

・他の教員との連携

日本語学校はチームティーチングなので、一つのクラスを3~5人程度で教えます。

しかし、授業日誌での連絡のみでは分からないことも多いので、ときどき直接「今日はどうでしたか?」などと聞きます。

そこで質問をいただいたり、私自身も悩んでいることを相談したりして、クラスの課題を解決していきます。

 

・お知らせやホームルーム

お知らせというのは、イベント等の告知、テストの告知、進学先の紹介などのことです。

ホームルームでは、その時期に必要な知識を教えたり、学生自身に考えさせたりします。

例えば、進学の時期になれば面接時の服装を教えたり、志望動機を考えたりします。

 

他に

・ミーティングでクラスの様子、学習状況などを報告

・クラスの配布物の準備

・席替え

などがあります。

 

 

 

3.進学

・進学面談

2年目の7月頃から進学説明会が行われ、10月頃から願書提出が始まるので、それ以前に面談を行い、希望進路を明確にし、学生のレベルにあった進学先を勧めます。

 

・書類の準備

オープンキャンパス等に参加して学校が決まったら、願書等の書類を準備します。

日本人の学生と違って国内に保証人がいないので、在留カードや通帳のコピー、アルバイト先の給与明細、住民票、保険証のコピーなど様々な書類を準備しなければいけません。

また、学生に質問しながら、オリジナリティのある志望動機を完成させます。

 

・証明書や推薦書の発行

校長や主任教員が、証明書や推薦書の発行を行います。

 

・面接練習

日本人の学生は、AO入試でなければ、学力さえあれば合格しますが、留学生は必ず面接があります。

日本語の問題というより、自分の考えを適切にまとめて分かりやすく話せない人が多いので、彼らの考えを「これでもか!」というところまで引き出して、来日のきっかけから将来の展望までのストーリーを美しくまとめます。(笑)

何度も練習をして、そのストーリーが自分の言葉で話せるようにしていきます。

 

他にも

・進学説明会の参加、開催

・大学・専門学校への対応(来客、電話対応、他の教員への周知)

などがあります。

 

 

4.イベント関連・外部試験

・イベント開催

入学式と卒業式はもちろん、日本の文化を体験したり、親睦を深めたりするために、遠足、運動会、パーティー、茶道・書道体験などがあります。

会場の予約申込、備品の準備、バスの手配、教員の役割分担、当日のスケジュール決めなどをします。

 

その他にも

・外部試験(日本語能力試験日本留学試験)の申込

避難訓練の実施

・健康診断の実施

などがあります。

 

5.教員の管理と教育

こちらは、主任教員がメインになる業務です。

 

・講師募集、面接

・講師会や勉強会、研修の実施

・授業やテスト等のマニュアル作成

 

 

6.学生の生活関連

これらは「事務」「生活」担当のスタッフがメインになる業務ですが、専任が担当する場合もあります。

 

・注意喚起(例:台風、病気、長期休暇中のトラブルなど)

・出席率が低下、授業態度が悪化している学生への生活指導

・病気やけがをしている学生を病院に連れて行く

・入国したばかりの学生を空港へ迎えに行く

・アルバイト先への対応(学生の紹介・トラブル対応など)

・学生のアルバイト把握

・寮の管理・清掃

 

 

7.事務関連

こちらも主任教員または「事務」「生活」「経理」担当のスタッフがメインになる業務ですが、専任が担当する場合もあります。

 

・入管への報告

留学生を受け入れることができる「法務省の告示校」で居続けるために、教員の人数、学生の在籍数、出席率、進学先、試験の結果などを報告します。

 

・「日本語教育振興協会」などへの報告

上記と同じ

 

・ビザ申請

留学生が日本語学校に個人で申し込むケースは少なく、たいてい「送り出し機関」と呼ばれる、いわゆる留学エージェントのような会社を通して書類を準備します。

その書類の量は膨大で、翻訳も必要で、申請に時間がかかるので、入学時期の数か月前から準備して「入国管理局」にビザ申請をします。

 

・ビザ更新

学校によって留学ビザの在留期限が異なりますが、在学期間である2年のあいだにビザ更新が必要となります。

日本語学校の入学時期は4月、10月とあり、年に複数回、更新業務があります。

さらに、新入生のビザ申請の時期と、在校生のビザ更新の時期がかぶることもあるので大変です。

ビザ更新には、過去のアルバイト情報すべてが必要になりますので、学生に給与明細を集めさせないといけません。

 

他にも

・学費の徴収

経理(勤怠管理、コマ給・事務給・交通費の計算)

などがあります。

 

 

8.雑務

その他にも細かい雑務があります。

 

・校舎の管理・清掃

・お茶出し

・電話対応

・納品チェック

掲示

・教材やプロジェクター・備品の購入や管理

 

 

まとめ

 

とりあえず私の今思いつく限りの業務を挙げてみました。

 

授業以外にこんなにやることあるの!?と驚かれたかもしれません。

 

これらのすべての業務を一気に引き受けるわけではありませんが…私は年々仕事が増えていっております。(笑)

1~2年目は本当に忙殺されていましたが、今は成長し、ある程度余裕を持って取り組めています。

 

専任として応募される際には、どこまでの業務に関わるのか詳しく聞いてみることをおすすめいたします!